2016年7月5日火曜日

設定の違う複数のVLC Media Playerを同時使用する方法 - Run multiple VLC Media players in different settings.

VLC Media Player(以下、VLC)をビデオ プレゼンテーションなどに使用する場合に、設定の違う状態のVLCを複数同時に使いたい場合があります。

例えば、プログラム開始前はバックグラウンドビデオをループ再生しておき、プログラム開始後はプレイリストにあるビデオを順次再生したい場合などです。
この場合、ループ再生用のVLCと、順次再生用のVLCを2つ同時に利用できると便利です。
(ビデオはセカンダリディスプレイに映し、メインディスプレイで2つのVLCを操作することを想定しています。)
これを例に手順を説明します。

実現方法を一言でまとめると、
VLCの持っている「設定ファイルを指定して起動する機能」を利用したショートカットを作ることで対応します。

具体的な手順

  1. まず、通常通りVLCを起動し、順次再生用の設定をする。
  2. %APPDATA%\vlcフォルダ※1を開き、vlcrcファイルのコピーを同じフォルダに作成し、ファイル名をvlcrc_loopとする。
  3. デスクトップにVLCへのショートカットを新たに作り、分かりやすいように「VLCループ再生モード」という名前にしておく。
  4. 作ったショートカットのプロパティを開き、「リンク先(T)」欄に入っているexeファイルへのパスの後ろに、半角スペースを入れ「 --config=%APPDATA%\vlc\vlcrc_loop --qt-opacity=0.8」※2と入力する。
  5. 作ったショートカットからVLCを起動する。
  6. メニューから「ツール(O)」=>「設定(P)」を開き、「ビデオの最終フレームで一時停止」のチェックを外し「保存(S)」を押す。
  7. ウィンドウ下のほうのループ再生ボタンを押してループ再生を有効にする。
  8. 一旦VLCを閉じる。
これで、元々のショートカットから起動したり、ビデオファイルをダブルクリックして起動した場合は順次再生用の設定で、いま作ったショートカットから起動するとループ再生用の設定でVLCを起動することができます。
デスクトップに通常起動用のショートカットが無いなら、併せて作っておくと良いかもしれません。
また、ループ再生用のショートカットのアイコンを別のものに変更しておけば、さらにわかりやすくなるかと思います。

このようにして、ループ再生用のVLCと順次再生用のVLCを分けて起動すれば、バックグラウンドビデオをループ再生している間に、順次再生用のVLCの準備を整えスタンバイしておくことができます。

VLCを複数起動する場合に注意しないといけないのは、vlcrcファイルを別に分けてもウィンドウ位置などの記憶は共有される、という点です。具体的には最後に閉じたVLCのウィンドウ位置、大きさ、プレイリスト表示の有無などが、次に開くVLCに反映される、ということです。おそらくウィンドウ関連の情報はvlcrcファイルに保存されていないのでしょう。

この記事では通常のVLCと設定ファイルを指定したVLCの2つを同時起動する方法を紹介しましたが、似たような代替手段としては下記のような方法も考えられます。

vlcrcを置き換える方法

vlcrcファイルを複数作っておき、バッチファイルなどでvlcrcファイルを置き換えてしまう方法です。この方法では設定の違う複数のVLCを起動することはできませんが、デフォルト起動のVLCの設定をスイッチングしたい場合には有効な手段です。

ポータブルVLCを使う方法

通常インストールのVLCとは別にPortableApps.com版のVLCを準備して使い分ける方法です。この場合は同時起動は基本的に無理ですが、ウィンドウの状態も別々に保持することができます。ややこしいですが、下記URLの記事を参考にすれば同時起動をすることもできそうです。
(その場合、ポータブル版を先に起動してから、通常版を起動する必要があります。)
http://portableapps.com/node/42670

以上になります。

お役に立てば幸いです。


※1: %APPDATA%は「C:\Users\(アカウント名)\AppData\Roaming」というフォルダを指し示すWindowsの環境変数です。エクスプローラーのアドレス欄に「%APPDATA%」と打ち込んでEnterを押せば該当フォルダが開きます。大文字でも小文字でも構わないんですが、環境変数であることが分かりやすいように大文字表記しています。この環境変数を使っておけばユーザアカウント名が何であろうと問題なく動作するので便利です。

※2: 「--qt-opacity=0.8」という指定は、ウィンドウを80%の不透明度にする設定です。本来は不要ですが、通常起動のVLCと見分けがつきやすいように少し透明にしています。